Couple『Brief Pop』

 

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以前このブログでも紹介されていたCouple『Brief Pop』を聴いてみた。シンプルなギターリフ、シンプルな楽曲構成、ボーカルmomoのキュートなフィメールボイス、パワフルに叩かれるドラムスやバッキングギターの休符を生かしたフレーズに惹きつけられる。

特に、1曲目「Brief Pop」は挨拶代わりかつ今作で最も素晴らしいポップソングだろう。ハイフレットでカッティングされるギターリフと薄く歪んだシンセサイザーの絡みは、まるで80年代のMTVによく映ったヒットソングのような黄金律としてサラリと奏でられるわけだが、これをたった20秒程度で終わらせた後にフィメールボイスが重なっていく。

まるでギターで弾き語っていた歌に、ちょっとだけ背伸びしてアイディアを出し合ったバンドサウンドが組み上げたかのよう。ギターリフとシンセサイザーのフレーズのそこかしこに、北海道で結成された彼らの遊び心を見つけることができる。

この曲を皮切りにした『簡素なポップ』を謳うこのアルバムには、ギターポップ・ソング集のキラメキというにはあまりある力強さが詰め込まれている。

ネット上がりのギターポップバンドが代名詞にするような淡さや儚さからは距離感を置き、今作からメロディの一端に感じられるのみ、むしろより強いキラメキを示してくれている。

今作を発売したのは、I HATE SMOKE Records。2006年に設立し、ジャパニーズインディーズレコード/レーベルとしてみると新興ながらも多くの音源を発表してきたレーベルだ。NOT WONK、The Full Teenz、フジロッ久、SEVENTEEN AGAiNなどがこのレーベルから音源を発表してきた。

「何にも流されない意志とスタイルを持ったアーティストをリリースする」と謳うこのレーベルから輩出されてきたバンドを追いかけてみれば、パンクを中心にしつつもそうでもないギターロックバンドも数多い。そういったラインナップに彼らcoupleは異色の存在に見えるだろうか?、いや彼らの音源に満ち満ちる力強さにはI HATE SMOKE Recordsの信念にも連なる力がある。同郷で今年ブレイクしたNOT WONKの後ろには、彼らが控えている。

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草野(@grassrainbow