ネットの音楽オタクが選んだ2015年の日本のベストアルバム 50→1

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少しだけ種明かしをします。

今回の集計データは大体400前後で、ベスト150以内だと100人に1人、ベスト50以内だと30〜40人に1人程度の割合で選ばれています。当然聴く人の数が多ければ選ぶ人も多くなります。だから「ほとんど知られてないけど音楽的に優れている作品」が上位に来ることはほとんどありません。一方で多くの人に聴かれているにも関わらずあまり評価されない作品もあります。少数にしか知られてないけど高い評価を得て上位にくる作品もあります。ちなみに今回は2件不正が見つかったのでそのデータは使いませんでした。

もちろん真面目にやっています。だけどこのランキングは決して完璧なものではありません。観測場所が違えば結果も変わります。それを理解した上で、あまり深刻になりすぎずに活用していただけたらうれしいです。

ちなみにYouTubeにMVが置かれているものは150作品中139曲、Apple Musicに提供されているものは150作品中71作品でした。後日、2014年の分を含む海外編もできたらやろうと思います。

また一年やっていこうと思います。今年もよろしくお願いします。それでは最後の50枚です。2015年もすごい年でした。(ぴっち)

 

ルールの詳細、ノミネート作品一覧はこちら 

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50. 佐野元春 & THE COYOTE BAND『BLOOD MOON』

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「境界線」 Apple Music

 

49. VIDEOTAPEMUSIC『世界各国の夜』 

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「Hong Kong Night View feat 山田参助(泊)」

 

48. ザ・なつやすみバンド『パラード』

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「パラード」

 

47. アナログフィッシュ『Almost A Rainbow』

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「Baby Soda Pop」 Apple Music

 

46. ROTH BART BARON『ATOM

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「bIg HOPe」 Apple Music

 

前作『ROTH BART BARONの氷河期』がファンタジーであるならば、本作『ATOM』描かれる世界はSFである。当人たちは70年代、80年代のSF映画からインスパイアを受けたと語っているが、よく聴くと北斗の拳銀河鉄道999といったマンガからの影響も強く受けた作品であることがわかる。そしてこれらには一つの共通点がある。それはデストピアである。

デストピアといえば社会や政治など様々な課題を背景とした世界であり、ユートピアの真逆の世界であり、その原点と言える世界観を提示した作品こそ『ATOM』の曲のタイトルにもなった1927年のドイツ映画『メトロポリス』である。ディストピア世界を描いた初の作品である本作は摩天楼の上層階に住む限られた知識指導者階級と、地下で過酷な労働に耐える労働者階級に二極分化した徹底的な階級社会があるという設定であった。これは当時の「第一次大戦の戦費は敗戦国のドイツが払わないといけない」というヴェルサイユ条約制定後、何万人の餓死者を毎日のように出していた当時のドイツのと連合国の情勢をトレースしたのではと思われる。

すなわちSFというものはフィクションでありながらも現在の社会の状況を写す鏡のような存在であったわけで、そう考えるとこの『ATOM』も今の日本を写す作品であるのではないか。本作では戦争や死の灰が降りそそぐまさにディストピアの世界にファミリーレストランやショッピングモールといった身近な日常風景を入れこんでいる。「核」と「戦争」それは2015年のキーワードであり、ここで提示されていることはまるで近い将来のこの国を暗示させるようである。

しかし、そのような歌詞とは対照的に歌声とサウンドはこの上ないくらいにファンタジックであり、神秘的である。それは観客にあくまでこれは幻想であり、こういう未来にはしたくないという思いも込めて祈りにも似た歌、サウンドを響かせてているように感じる。僕らに思い思いのイメージを心のキャンバスに描くことを信じて、観客の想像力を信じて、このような世界になってほしくないという尊い願いを歌に託した。『ATOM』はそんな作品だったのではないだろうか。

ゴリさん(@toyoki123

 

45. SEKAI NO OWARI『Tree』

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「RPG」

 

44. でんぱ組.inc『WWDD』

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「ちゅるりちゅるりら」 Apple Music

 

ネットスラングを混ぜてみたり、自分の過去を曝け出してみたり、異様にBPMを早くしたり譜割を細かくしたりキーを高くしたり…アイドルシーンをサバイブする中でそれは個性として際立ったけど、今冷静に考えると、単に王道を避けていただけだった。
(例えば数少ない王道曲に「キラキラチューン」という曲があるけど、振り付けの大部分がメンバーの不和を描いた寸劇で、きちんと踊るのは最初と最後のサビくらい)

でも.このアルバムは、普通の「良い」アルバムになったと思う。「ダンス ダンス ダンス」「檸檬色」のような直球ソングを歌いこなせるグループになったし、同時に「バリ3共和国」「Dear☆Stageへようこそ♡」 など「彼女らしい」曲も活きるようになった。何より今のでんぱ組には多幸感が溢れてる。

「産まれたからには生きなきゃね 地獄の底まで楽しむぞ」(NEO JAPONISM)

「君の未来を明るく照らすなんて お茶の子さいさいさい」(サクラあっぱれーしょん)
こんなことを歌えるなんて、本人すら思ってなかっただろう。

このアルバムが出てから、代々木体育館2daysを満員にした。Mステにも出た。全国ツアーも海外ツアーもした。フェスにも出まくった。ソロ活動も増えてきた。でもギリ「ネクストブレイク筆頭」だと思う。まだ間に合う。

はっちゅ(@colorfulwhite

 

43. Maison book girl『bath room』

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「bath room」

 

42. BiSH『Brand-new idol SHiT』

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「BiSH-星が瞬く夜に-」 Apple Music

 

もしも願いが叶うならハシヤスメさんのメガネになりたい。

じゅい(@Tricky_Pink

 

41. tofubeats『POSITIVE』

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「すてきなメゾン feat. 玉城ティナ」 Apple Music

 

40. PIZZICATO ONE『わたくしの二十世紀』

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職業音楽家を自称する小西康陽が「誰よりも自分のために作ったレコード」と語ることからわかるように、きわめてプライベートな作品だ。自分のために作った音楽が偶然多くの人に喜ばれる、そんなうまい話はあまりない。でもピチカート・ファイヴをはじめとした楽曲が彼の望むアレンジを纏うことで、美しい音楽であることがあらわになった。やはり小西康陽の音楽は美しかった。本来小西さんだけの特権なのだが、このアルバムを自分の棺桶に入れたい人が大勢いると思う。自分もその一人。 

ぴっち(@pitti2210

 

39. TWEEDEES『The Sound Sounds.』

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「KLING! KLANG!!」 Apple Music

 

38. BOOM BOOM SATELLITES『SHINE LIKE A BILLION SUNS』

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「A HUNDRED SUNS」 Apple Music

 

37. 花澤香菜Blue Avenue

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「君がいなくちゃだめなんだ」

 

純度の高い恐ろしいくらい洗練されたポップミュージックを、花澤香菜という1人の女性声優は量産している。豪華な参加ミュージシャンが惜しみなく魅力を引き出して、器用に、ナチュラルに歌いこなす。暗い世の中を明るく乗り切る特効薬としてのドラッグミュージック。ひとたび聴き終え、依存患者になりました。

ウラニワ、そしてわど(@wadledy

 

36. eastern youth『ボトムオブザワールド』

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「街の底」

 

35. SAKEROCK『SAYONARA』

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「SAYONARA」

 

34. C.O.S.A.『Chiryu-Yonkers』

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「知立Babylon Child」

 

33. Spangle call Lilli line『ghost is dead』

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「ghost in a closet」 Apple Music

 

32. WANIMA『Are You Coming?』

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「THANX」

 

31. 私立恵比寿中学『金八』

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「ハイタテキ!」

 

16曲70分の大作。破茶目茶なコミックソングあり、涙腺崩壊必至のバラードありの高低差ありすぎて耳がキーンとなるやつです。成長を否定した「永遠に中学生」というコンセプトの下、様々なタイプの楽曲が織り成す非日常の成長体験記はまさに劇場版ドラえもんのよう。各クリエイターのエッセンスにニヤリとできるポイントも多数。アイドルに興味のない方もいろんな切り口で楽しめるアルバムです。

特に好きなのが「ちちんぷい」。ちょっと変わったメロディラインにとにかく明るいパンクなバックトラック、逃れられない成長を唄ったせつない歌詞、これぞエビ中!という要素が1曲の中に全て詰まった今作のハイライトです。

とにかく濃いアルバムで聴き終わったあとにドッと疲れる、だけどまた聴きたくなるこの感じが素晴らしい。「アイドルとは思えない」といった触れ込みの作品が多い昨今、敢えて「これがアイドルのアルバムだ!」そう思って聴いてみてください。

ntd(@ntd95

 

「幸せの貼り紙はいつも背中に」で歌われる《I'm satisfied with me 私に生まれてきて良かった》という一節に作品の本質が集約されている。メンバー8人が私立恵比寿中学としての日々を謳歌し、笑い転げて戯れ合う様子が思い浮かんできて、眩しすぎて目を開けていられない。歌うこと、踊ること、楽しいこと、悲しいこと、生きていること、彼女たちの全てが輝きを放つ音楽に成って聴き手へと降り注いでくる。

楽曲の作り手がそれぞれすべて違うことを逆手に取り、あらゆる角度からエビ中を活写した群像劇としてまとめた構成も見事。「PLAYBACK」では《生まれ変わっても そう君のままでいて/夢叶う時間限られていて》と、僕らが願うエビ中と彼女たちにとってのエビ中、その二つの視点を祈りのように交差させた特に意義深い一曲だろう。《君に幸あれ さあ天高く昇れ》というラインが持つ全肯定のエネルギーにいつも泣き崩れるのだ。

月の人(@ShapeMoon

 

30. NOT WONK『Laughing Nerds And A Wallflower』

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「Laughing Nerds And A Wallflower」

 

29. サザンオールスターズ『葡萄』

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「アロエ」

 

例えば『もののけ』、もしくは『ポニョ』以降の宮﨑駿がそうであるように、老いを否定せず己の表現を突き詰めた結果、どういうわけか老いの意味さえわからないような子供まで楽しめるものが生まれる。桑田佳祐がサザンを再び動かしたのは、自分だけでは届かない世代に音楽を届けるためではないか。とはいえ下に媚びることなく、おそらく理解されないものをポップスとして仕上げたものがこのアルバムだと思う。多分理解されない。シングル曲は届いたかもしれないけどそれだって限られている。でもサザンに興味を持った子どもたちが、いつかこの時の桑田佳祐に気づく。それで充分という、ある種の諦めと、それでもこれを作り上げたことの自負が入り混じったそんな境地ではないだろうか。

と言いつつも「アロエ」「蛍」の2曲は今のサザンが何度目家のキャリアの頂点に立っていることを示す大名曲だと思う。

ぴっち(@pitti2210

 

28. never young beach『YASHINOKI HOUSE』

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「どうでもいいけど」 Apple Music

 

27. Awesome City Club『Awesome City Tracks 2』

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「アウトサイダー」 Apple Music

 

26. indigo la End『幸せが溢れたら』

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「幸せが溢れたら」 Apple Music

 

別れや喪失感を悲しみでびしょびしょに濡らして歌に仕立てたものは心を上滑りするだけですぐに忘れる。しかし、このアルバムはそういった感情を歌いながらも、乾くか乾かないかくらいの微かな湿り気にとどめており、じわじわと奥の方に浸透し聴く者の心を満たしていく。川谷絵音が作り出す魅力的で抜け目のないメロディーは、いくつバンドを掛け持っても何枚アルバムを出しても留まることを知らない。お涙頂戴は嫌いだけれど、もの悲しい雰囲気は好きというひねくれ者の方におすすめです。

ゆうき(@2117kiyu

 

25. パスピエ『娑婆ラバ』 

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「つくり囃子」 Apple Music

 

素顔を見せない、覆面でない、でも音楽性は不思議、そんな三拍子そろった不思議ちゃんバンドが化けた。正直、今までは相対性理論に近い部分を強く感じることが多かったが、今作はどちらかというと和×電子音のイメージのほうが色濃い印象。大胡田の書く歌詞が不思議な空間を作り出し、楽器陣の冴えている演奏がそれを助長する今までのアルバムから比べるとさら邦楽的な要素が色濃いのが今作といえる。

M12の「素顔」が名曲。《素顔は見せずに 誰が為の歌を 貴方にこの歌を歌うから》。これからの海外進出等の活躍に期待が持てる一作。

奈津(@natsu_lily

 

やりすぎなくらいにカラフル。真っ直ぐなポップソングはさらに直情的なエモーションを持ち、パスピエ歌謡とも呼べる和テイストの曲たちはより独自のリズムを獲得。成田ハネダによる作曲と、バンド演奏が振り切ったように両極端へと進化を遂げている。

歌詞の面は、アルバムタイトルを「娑婆LOVER」と解釈するならば、まさしくその通りの言葉たちが並ぶ。娑婆を生き抜いて好きになってゆけるような希望や面白みを全面に描いたり、こっそり忍ばせたり。現実視点と夢心地が遠慮なく飛び交う描写の中に見え隠れするボーカル/作詞家・大胡田なつきの素性はバンドのフロントに立つ者の覚悟が滲む。

バンドが潔く自由に躍動し始めた瞬間を刻んだ3枚目。パスピエの在り方を決定づける1枚だろう。

月の人(@ShapeMoon

 

24. 清竜人25『PROPOSE』

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「Mr.PLAY BOY…♡」

 

ナオンに囲まれた電光石火のスケベなオッサンがチャンネーをはべらすだけのアルバム。かつては正統派なポップスの若手シンガーソングライターの大型新人としと華々しくデビューした、清竜人。自分を徐々に曝け出し、挑戦し続けてきた結果、このような境地に達してしまった。いや、まだその過程にすぎないかな…。終始おめでたい祝祭ムードで、俺は一体何を聴かされているのだろうか、とわけがわからなくなる。

でもどうでもいい。これが何なのかなんて誰もわからない。きっとこれこそザッツ☆エンターテイメント。なんだろう。So' flyやSOUL'd OUTやLOVES期のm-floを聴いてるときのような、得体の知れない感覚。

ウラニワ、そしてわど(@wadledy

 

嫁がいるってのは、ただただ幸せってこと。そうだよな、竜人くん。

かんぞう(@canzou

 

23. 3776『3776を聴かない理由があるとすれば』

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「3.11」

 

富士山はこんなにもドラマティックな場所なのか!それもそうか。登山は死と隣り合わせの険しいものだし、麓にある樹海は鬱蒼と広がって沈黙している。ひとりの中学生の女の子がナビゲートするは、青春と混沌を映す音像絵巻。聴き終えると、自然災害やら時間の流れに抗えない無力さとか、誘われるがままに軽い気持ちで背負いこんだ責任がのしかかる。味はほろ苦い。間違い探しの人生。そんなことを受け止め清算しながら、これから待ち受ける数多の選択肢に立ち向かう。

なーんて深刻な気分に陥るかもしれない…し、おちいらないかもしれない。登りきるまでいろいろあるけど、山頂の絶景を夢見て一心不乱に突き進む紆余曲折のロードムービー。登りきっても、終わりじゃないけどね。

3776に興味もったら、アルバム未収録の「時空ラブレター」って曲も体感してみてほしい。2014年の夏の終わりごろに知り衝撃をうけてから、すぐにどんどんメンバーが脱退してて心配だったよ。このまま地下アイドルとして埋もれて消滅してしまうのかなって。でもこうしてアルバムが出て、少しずつ話題になりつつあって本当によかった。この破壊と再生のプロジェクトにこれからも目が離せない。

P.S.山には魔物が棲んでいる。

ウラニワ、そしてわど(@wadledy

 

22. 米津玄師『Bremen

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「メトロノーム」

 

スッと入ってくる彼の声がなんとも柔らか。信頼できる仲間と組んだ音楽隊が鳴らす音。それはとっても幸福で、これまで抱えてきた苦しい気持ちに、 スッと荷が降りる思いだ。この一枚が、あなたの中で優しく光りますように。

かんぞう(@canzou

 

21. KOHH『DIRT』

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「Living Legend」

 

20. シャムキャッツ『TAKE CARE』

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「GIRL AT THE BUS STOP」 Apple Music

 

19. RHYMESTER『Bitter, Sweet & Beautiful』

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「ガラパゴス」 Apple Music

 

18. チャットモンチー『共鳴』

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「きみがその気なら」 Apple Music

 

17. 髭『ねむらない』

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「ジョゼ」 Apple Music

 

アイゴンが勇退し、オリジナルメンバーだったフィリポが脱退した。レーベルとマネジメントも変わり、髭は変化の時期を迎えた。ある意味、ソロアルバムのような手触りのアルバムだと思う。とはいえ須藤だけではなく宮川も曲を書いているわけで、髭の純然たる新作であることは間違いない。

以前の彼らは騒々しかった。根拠なくお客を煽り、カラフルな世界観に彩られ、ドラッグをやっているわけではないのにそうとしか思えないほど狂騒に身を委ねていた。最近のライブは知らないが、多分その印象も大きくは変わってないはず。ただ、そんな彼らにも感傷的になる時間があり、それがこうやって作品になってしまった。静けさが聴く人を連れ去ってくれる。空虚なパーティが終わり音楽がはじまった。

ぴっち(@pitti2210

 

端的に言って、名盤。須藤が「ベッドルーム・ミュージック」と呼ぶように、この作品には「ロックンロールと五人の囚人」のようなキャッチーな曲は存在しない。しかし、変にアッパーな躁状態でもなく、変に沈んだ鬱状態でもなく、真綿に包まれたようなニュートラルな気持ちのままトリップする感覚を味わうことができる、心地よい音楽となっている。須藤が目指した「目が覚めない音楽」というコンセプトと、もともと髭が持つサイケデリックの要素が化学反応を起こし、唯一無二の「ねむれるのに踊れる」アルバムが完成した。

『ねむらない』のに、ねむれる音楽。ねむれるのに、踊れる音楽。大傑作です。

やすぴろ(@underdog0721

 

16. OMSB『Think good』

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「ActNBaby feat. jjj」 Apple Music

 

15. 吉田ヨウヘイgroup『paradise lost, it begins』

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「ユー・エフ・オー」 Apple Music

 

14. GRAPEVINE『Burning tree』

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「Empty song」 Apple Music

 

先行シングル『Empty song』が、レーベル移籍第一弾だからかロックで力強い曲だったので、アルバムもそんな雰囲気になるかなと想像してた。しかし力強さもある一方で、美しくかつ洗練されたサウンドが、立体的にどこまでも広がっている。

でも決して雰囲気は明るくない。死を秒読みする音を発するという『死番虫』、生け贄・犠牲を意味する『サクリファイス』、『Empty song』のMVはVo.田中が担架で運ばれるもの、といったようにこのアルバムには、明確な「死」が込められている。

『Burning Tree』=「燃えるような命」を「生のエネルギー」と取るか「死への一途」と取るか。特に『IPA』の歌詞からいろいろ察せる気もするけど、奥深すぎて何通りも解釈が広がるのはバインならいつものことだし、そんなこと考えず聴いても最高だと思う。聴こう。

はっちゅ(@colorfulwhite

 

13. MONOEYES『A Mirage In The Sun』

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「Run Run」

 

12. クラムボン『triology』

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「yet」 Apple Music

 

このバンドにはふんわりとした、柔らかな印象を持っている人が多い。それも一理ある。原田郁子が書く歌詞は今の音楽シーンではとても異色なほどにフワフワしている。しかし今作は、前作よりも形あるものとして見えてくる。それもそのはず、フワフワしながら明るいことも暗いことも描く歌詞は、練りに練られた進行とメロディがあるからこそ成り立っているのだ。

シーンに対する緻密な研究によって作られた、強度のあるアルバム。長く続いているからこそ鳴らせる、エネルギー溢れる瑞々しい中毒性を孕んだアルバム。最高、そして必聴。

奈津(@natsu_lily

 

11. Awesome City Club『Awesome City Tracks』

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「4月のマーチ」 Apple Music

 

Awesome City Clubは知的で策士なバンドである。“男3人とキレイな女性2人”というバンドの形からまず発想して作り、インディーズでCDの作成を行わずネット上でデモとして音源だけでしか公開しなかったが、そのクオリティーの高さとライヴパフォーマンスが話題を呼んでメジャーデビューしたのだが、この『Awesome City Tracks』というものを聴くと音作りからも知的で策士な面がうかがえる。

本作を聴いて何より驚いたのが耳へすっと入ってくる音、そう耳なじみの良さが優れているのだ。彼らのサウンドはチルウェイブ、インディR&Bといった2010年代以降にトレンドになった音楽から、エレポップやソウルミュージックやディスコといった物までを飲みこみ、咀嚼をして生み出された音であり、聴いていて自然に体が踊り出すサウンドである。そして、歌詞に関しても文字にして読むと可笑しい文章ではあるがメロディと合わさると瞬間、絶妙なフィーリングをみせて、耳触りのいい、とても心地の良い響きである。そして、この耳なじみの良さはどこか90年代のJ-POPを思い出す。

ソウルミュージックやディスコがエレポップと融合し80sポップスになり、これが日本に輸入され歌謡曲と融合した音楽、換骨奪胎して出てきた産物こそ90年代J-POPだと僕は思っており、ドリカムや槇原敬之広瀬香美米米CLUBなどはその典型であったと感じる。『Awesome City Tracks』に話すを戻ると、ベースラインを強調し、シンセサイザーを輪郭とした音作り、そして耳触りが良く何度見聴きたくなるようなキャッチーなサウンドはどことなく90年代のJ-POPを彷彿させるサウンドであり、30代の僕とかは懐かしさを感じるわけである。90年代の音楽は好景気であったが、同時に音楽の消費化が急速に加速し、アルバムの作品性というものが失われ負の部分が強調される事も多い。しかし、このようなバンドが生まれればそれも少しは報われるのかもしれない。

ゴリさん(@toyoki123

 

10. Suchmos『THE BAY』

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「YMM」 Apple Music

 

9. Negicco『Rice & Snow』

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「光のシュプール」

 

8. ペトロールズ『Renaissance』

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ずるい。ずるいよ。結成10年経つのにこれが初めてのフルアルバムだし、メンバーの一人の実質ブレイン的な長岡亮介の活躍っぷりは周知の通りだし、そうそう、紅白での椎名林檎とのデュエットのあの浮雲こと長岡亮介のドヤ顔見ました?とんでもない格好良さで私、見ていて歯ぎしりが止まらなかったんですけど。紅白男の滲み出る男としての格好良さ。片やこちらと言えばストレス社会と戦うサラリーですよ。最近は代謝も落ちてきて日に日にお腹に肉が溜まりはじめてるんですよ。顎に肉が付いてきてるんですよ。何の話ですかこれは?そう、つまりモテる、デキるからは程遠い男なわけなんですよね。つまり我々のような男性にとって長岡亮介ことペトロールズは皮肉の対象にもってこいなわけです(言いすぎ)。

そんな私ですから相当斜めからの目線で本作を聴きましたよ。ええ、「音楽関係ねーじゃん」という意見はひとまず無視しますよ。「どんなもんじゃい」という気持ちで聞いてやりましたよ。「ふーん中々良いじゃないの」なんて余裕も最初はかましてましたよ。「まぁ、でもびっくりするほどではないかな」という阿呆みたいな感想は次の「表現」という曲を聞いて吹っ飛びました。なんじゃこりゃ。私は泣き笑いの顔で歯ぎしりをしつつペトロールズの「表現」にメタメタに打ちのめされてしまいました。

ペトロールズ半端ねぇ。ペトロールズ格好良い。というか長岡亮介格好良い。長岡亮介って眼鏡すげー似合うよね。あれもしかすると俺も眼鏡かけたら長岡亮介みたいになれるんじゃね?はい、そう思って丸い眼鏡を買って身に付けたらそこにいたのはご飯ですよのおじさんだったよ!オーマイガ!

うめもと(@takkaaan

 

7. ASIAN KUNG-FU GENERATION『Wonder Future』

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「Opera Glasses / オペラグラス」 Apple Music

 

僕と君だけの世界を焦燥まみれで掻き鳴らし叫んだ「未来の破片」でのメジャーデビュー以来に、「未来」を冠したタイトル曲が収められているこのアルバム。《霧の先にどんな未来が待っていたって もう漕ぎ出してしまったんだな》からわかる通り、「Wonder Future/ワンダーフューチャー」における未来の描写はデビュー時のそれとは違う。混迷を極め明日も分からない時代、そしてソングライター後藤正文のバンドマンとしての極めて主観的な思いが混ざり合い、寂しげなメロディはそれを増幅させている。

久々のシンプルでラウドなサウンドへの回帰も当然このアルバムの特記事項だが、どうしてもセンチメンタルさが零れ落ちて聴こえてくる。そこがアジカンの頼もしさであり、2000年代のギターロックを引き受け続けた証なのだ。

月の人(@ShapeMoon

 

ロックバンドが自分たちの好きな音楽を突き詰め、アップデートするというごく当たり前で、かつ幸せな作品。結果アジカンの作品の中でも最も力強いバンドサウンドを聴くことができる。初期衝動を詰め込み、ロックシーンを飛び越えた人気作『君繋ファイブエム』『ソルファ』から十数年、シティポップ、EDMが主流となっている2015年の音楽シーンで、この作品が発表された事は大きい意義を持つ。

個人的ベストトラックは「standard/スタンダード」。これぞアジカン!と思わせられるエモーショナルな楽曲だ。

のすペン(@nosupen

 

6. 水曜日のカンパネラ『ジパング

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「ラー」 Apple Music

 

「前作の拡大版みたいな曲を全部ボツにした」というコムアイのエピソードがすべてを物語っている気がする。コムアイは一部の曲で作詞もしているが、基本的には作詞作曲及びトラックメイキングの大半をケンモチヒデフミが担っている。にもかかわらず、今作においてコムアイが演じている印象がないのだ。前アルバム『私を鬼ヶ島に連れてって』まではまだ自作自演的な部分があったのだが、今作に関してはラップも歌唱もトラックメイキングもことごとくリスナーの想定から外れようとしている。それを狙ってやっているのではなく、ひたすら好き勝手にやりながらそれを実現させているのがすばらしい。

今までの水曜日のカンパネラのイメージを毛嫌いしている人は「ウランちゃん」を聴いてみて欲しい。頭でっかちな先入観を木っ端微塵に打ち砕いてくれる。音楽に関するあらゆる価値観に心地よい揺さぶりをかけてくれる怪作だと思う。

ぴっち(@pitti2210

 

5. きのこ帝国『猫とアレルギー』

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「猫とアレルギー」 Apple Music

 

再生ボタンを押すと、いきなり柔らかなピアノの音とボーカル佐藤千亜妃の不純物がひとつも見当たらない声が飛び込んでくる。うっとりとしたまま、そこから先はメロディが最後まで手を取って導いてくれる53分。

佐藤千亜妃のパーソナルなエピソードが綴られた歌詞は、思い出を覗き見しているようで後ろめたさや気恥ずかしさもあるが、聴き手に向けて思いっきり心を開き、微笑みかけてくれているようでもあり、心がほぐされる。

歌にひたすら寄り添う演奏で、個人の記憶に潜っていた世界を描く。箱庭的なのに決して誰も拒まぬ包容力。これが今のきのこ帝国だ。身を委ねるほかない。 

月の人(@ShapeMoon

 

きのこ帝国はいつからこんなに表情が豊かなになったのか。本作の印象を一言で表すとそんなところである。嫌なやつを"あいつ"と呼び捨てにすることも、恨みや憎しみ、そして死について歌うことなくなった。自らを表現する音楽だったサイケデリックなサウンドはいつしか手段の一つへと変わり、閉鎖空間で自分の思いを叫んだ少女は優しさを手に入れた。そして、その結論がこの『猫とアレルギー』であった。

1曲目の「猫とアレルギー」から柔らかいピアノサウンドにボーカル佐藤の優しく寄り添う歌声が響く。続く「怪獣の腕の中」はおもちゃの音楽隊を思い起こさせるような木琴のようなキーボートと小太鼓のロールが可愛らしく、あなたを思う少女の気持ちを歌っている。そうかと思えば「ドライブ」のような歌声、そしてサウンドに深いリバーブをかけ、サイケデリックの持つドープさを現し、「YOUTHFUL ANGER」では一転しロー・ファイなサウンドがバンドの生々しさを強調している。このあたりの楽曲では優しさではなく、鋭敏な刃と退廃的な世界を行き来する初期のきのこ帝国を思い起こさせてくれる。

ボーカル佐藤の歌い方、録音やアレンジを変え、手段としての変幻自在に曲の持つ色を変えていくきのこ帝国。しかしながら、正直なところ僕はもっと初期のころの心をえぐるような、初期衝動をそのままサウンドにしたような曲をそろそろ聴いてみたい気もする。表情が豊かになった今の彼女たちなら、憧れたあのミュージシャンになれるかもしれない。

ゴリさん(@toyoki123

 

「猫とアレルギー」の母性溢れる優しい歌声、ドリーミーなイントロから始まる「怪獣の腕の中」など、穏やかな曲調の楽曲が並ぶ作品。歌とメロディをどう届けるか、その一点に注力された楽曲群は決して派手ではないけど、耳に馴染みやすく、スッと胸に入ってくる。一方で、疾走感溢れる楽曲もあり、特に4曲目「35℃」は本作ベストトラック。この曲の切なさと瑞々しさ。高校生の時に聴いたら、胸が苦しくなって無暗に外を走り出してしまいそうだ。まるで初期GOING UNDER GROUNDに通じる青さを感じた。

のすペン(@nosupen

 

4. Mr.Children『REFLECTION』

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「足音 〜 Be Strong」

 

待ってました!こんなミスチルを。彼らの特徴である声と歌詞、メロディ、すべてが瑞々しい。まさに全力投球の楽曲が詰まったこのアルバムは、第二のデビューアルバムといえるんじゃないだろうか。

ミスチルの数ある曲の中でも代表曲といえる「終わりなき旅」。彼らはその曲の中で、《もっと大きなはずの自分を探す》と歌った。それから12年後《長いこと続いてた自分探しの旅も この辺で終わりにしようか》と、旅を締めくくった「Prelude」。そして2015年。《未来へと続く扉 僕はまだノックし続ける》と宣言し、転がり続けることを選んだ「未完」。ミスチルの新たな決意表明が込められた傑作。

のすペン(@nosupen

 

小林武史のプロデュースを離れ、 全体的に初期に近いロック色の強い仕上がりのアルバムだ。いつかこういう作品を作る時が来るのはわかっていたし、それを願ってもいたのだが、実際にそれを目の当たりにするとミスチルの4人で歌を届けることに対するこだわりの強さに驚かされる。もちろんサポートだっているし、離れたとはいえ一部で小林武史も参加している。しかしむしろ彼らはこの4人でできる歌に意固地なまでにこだわっている。最初に聴いて思ったことは、彼らがバンドであるこだわりと比較すると、サウンドへの執着があまりに薄いのだ。新しい、それこそ誰も聴いたことのない音楽を作り出すことは微塵も考えていない。グッドメロディと言葉と心地良いグルーヴを届ける。そのことにミスチルは全身全霊を捧げている。

サウンドの実験性は薄れ、剥き出しのミスチルが姿をあらわした。40半ばのおっさんたちの音楽がこうやって支持されるのは、彼らがそれだけ真摯であることの証だ。

ぴっち(@pitti2210

 

3. Base Ball Bear『C2』

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「不思議な夜」

 

過剰に楽器を盛り込み、言葉数を増やし、超人的なスピードに乗せた音楽をよく「情報量が多い」と形容することがあるが、本当の意味で情報量の多い音楽とは『C2』に鳴っている音楽のことを言うのではないだろうか。楽器はギター2本とベース、ドラムのみでダビングはほとんどナシ。耳をすませば、1つ1つの楽器の鳴りが鮮明に立ち上がってくる。そして込める意味を研ぎ澄ませることで、一文突き出すだけで強烈な批評性を持つことになった歌詞。コンパクトでさりげないのに、彼らの発したい思いが冷静に組み込まれている。

緩やかなテンポでグルーヴを意識させる演奏へのシフトも上手く決まっている。盛り上げゲーム状態のロックシーンからするりと降りて、向かうべき先へと確かな一歩を踏み出した。到達点ではない。Base Ball Bearはここからさらにおもしろくなる! 

月の人(@ShapeMoon

 

「もう若くねぇ三部作」最終章(※ライムスター宇多丸とのインタビュー記事参照)、ベボベはさらにパワーアップした。小出祐介の構成力もリズム隊2人の技術や引き出しが格段に上がり、勢いだけでなくどっしりしたグルーブに各パートが絡み合う構成になった。元々いろんな仕掛けを仕組んでくる彼らだけど、経験値も引き出しも増えた分世界観をより細かく作り上げることが可能になった。単純なグレードアップではなく、構造からもう新しいバンドに覚醒した感すらある。だから「再」デビュー作の意も込めて『C2』と名付けたのだろう。

過去の自分たちを振り返りつつ、シーンも俯瞰で捉え抵抗しながら、未来へ放ったこのアルバム。多分、今のフェスだと盛り上がらない。でも3年後ならどうだろう?リスナーごとシーンを変えるかもしれない。

はっちゅ(@colorfulwhite

 

2. 星野源『YELLOW DANCER』

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「Snow Men」

  

ありがとう。すごくよかったよ、貸してくれたCD。山田君って星野源なんか聴くんだね。はじめて聴いたんだけど星野源ってソウルやディスコミュージックが好きなんだね。それがJ-POPのエッセンスとバランスよく融合してすごくおもしろかったんだけど、なんかこれを聴くと小沢君の『LIFE』思い出しちゃったよ。

『LIFE』って「ラヴリー」でBetty Wrightの「CLEAN UP WOMAN」や「ドアをノックするのは誰だ?」でJackson Fiveの「I Will Find A Way」とソウルミュージックを主に元ネタに使ってて、それが歌謡曲のエッセンスと混ざると『LIFE』ってアルバムになると思うの。

ほら、フリッパーズのとき小沢君って歌ってなかったでしょ?でも、『LIFE』ではホーンセクションやコーラスを脇において、中央で威風堂々と歌っていたし、ほとんどの曲がシングルカットされるベスト盤に近いアルバム構成だったのよ。これって70年代~80年代の歌謡曲にオマージュを捧げていたのかなって感じるの。

そもそも小沢君って歌謡曲が好きで、この『LIFE』の後に筒美京平とタッグを組んで『強い気持ち・強い愛/それはちょっと』というシングルを作ったりしてるの。それを考えると、見栄を切って歌うことも、ベスト盤みたいな構成も納得いくかなって。それにね、『LIFE』も星野源も批評性を持った作品なんだと私思うの。

星野源のこれってEDM化したJ-POPへのカウンターとして出てきた作品だと思うの。それでね、小沢君の『LIFE』も7インチシングルというものが出だして大量生産、大量消費が進む90年代に対して、そのカウンターとしてレコードが主であった70年代~80年代の歌謡曲をオマージュにした作品を作ったと思うんだ。

そして、CDが売れないこの時代に星野源は10万枚以上を売り上げ、オリコン1位を取ったし、『LIFE』も累計で70万枚以上売り上げたのよ。これってカウンター的な役割が成功した事の何よりも証なんだと思うの。でね、『LIFE』の翌年1995年に小沢君は紅白歌合戦で「ラブリー」を歌って20年後に星野源は同じ舞台で「SUN」を歌ったのよ。もしかして、星野源って小沢君の生まれ変わりなんだと本気で思っ……、ねえ、聞いてる?

「聞いてるよ。星野源の『YELLOW DANCER』の話だろ?」

……そうだけど。

ゴリさん(@toyoki123

 

このアルバムの素敵なところは、ブラックミュージックやソウル、ディスコや古いJ-POPに対しての造詣があろうがなかろうが、聴けば問答無用で踊り出せてしまうところだろう。彼の人懐っこいにも程がある笑顔と同様、誰に対してもオープンな音楽。ヘラヘラしながらいつの間にか傍らで共にステップを踏んでくれている。

彼が歌い始めた頃に比べると、歌っている情景も広大だし、音もとことん豪勢な仕上がり。しかし漂ってくるのは強烈な星野源の生活感。そのバランスは歪だが、そもそもデコボコな僕らの日々の真ん中に鎮座するに相応しい。生涯愛せるポップミュージック集。 

月の人(@ShapeMoon

 

1. cero『Obscure Ride』

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「Summer Soul」

 

本来深く考える必要はないと思うのだが、ceroの音楽を聴くとこれがロックなのかチェンバーポップなのかファンクなのかヒップホップなのかわからなくなる。くるりなのか岡村ちゃんなのか小沢健二なのか曽我部恵一なのかもわからなくて、正直ひどく混乱しながら毎回聴いてる。あれとあれはつながりようがない、そんな僕の先入観は前作『My Lost City』で木っ端微塵に破壊され、今作でもますます磨きがかかっている。価値観に対する揺さぶりが大きすぎて穏やかにこのアルバムを聴くことができない。正直今でもそう。去年のライジングサンで「Summer Soul」で心地よく身体を揺らしていた人たちを眺めながら、僕は圧倒的な孤独感に包まれていた。

「これは一体何なんだ?」という思いから、ついには「むしろ自分は一体何なんだ?」という疑念まで抱かせるという意味において、間違いなく今作は優れたアートと言える。とはいえ自分の感性が終わってるだけの問題かもしれないけど。

ぴっち(@pitti2210

 

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ネットの音楽オタクが選んだ2015年の日本のベストアルバム 50→1

1. cero『Obscure Ride』
2. 星野源『YELLOW DANCER』
3. Base Ball Bear『C2』
4. Mr.Children『REFLECTION』
5. きのこ帝国『猫とアレルギー』
6. 水曜日のカンパネラ『ジパング
7. ASIAN KUNG-FU GENERATION『Wonder Future』
8. ペトロールズ『Renaissance』
9. Negicco『Rice & Snow』
10. Suchmos『THE BAY』
11. Awesome City Club『Awesome City Tracks』
12. クラムボン『triology』
13. MONOEYES『A Mirage In The Sun』
14. GRAPEVINE『Burning tree』
15. 吉田ヨウヘイgroup『paradise lost, it begins』
16. OMSB『Think good』
17. 髭『ねむらない』
18. チャットモンチー『共鳴』
19. RHYMESTER『Bitter, Sweet & Beautiful』
20. シャムキャッツ『TAKE CARE』
21. KOHH『DIRT』
22. 米津玄師『Bremen
23. 3776『3776を聴かない理由があるとすれば』
24. 清竜人25『PROPOSE』
25. パスピエ『娑婆ラバ』
26. indigo la End『幸せが溢れたら』
27. Awesome City Club『Awesome City Tracks 2』
28. never young beach『YASHINOKI HOUSE』
29. サザンオールスターズ『葡萄』
30. NOT WONK『Laughing Nerds And A Wallflower』
31. 私立恵比寿中学『金八』
32. WANIMA『Are You Coming?』
33. Spangle call Lilli line『ghost is dead』
34. C.O.S.A.『Chiryu-Yonkers』
35. SAKEROCK『SAYONARA』
36. eastern youth『ボトムオブザワールド』
37. 花澤香菜Blue Avenue
38. BOOM BOOM SATELLITES『SHINE LIKE A BILLION SUNS』
39. TWEEDEES『The Sound Sounds.』
40. PIZZICATO ONE『わたくしの二十世紀』
41. tofubeats『POSITIVE』
42. BiSH『Brand-new idol SHiT』
43. Maison book girl『bath room』
44. でんぱ組.inc『WWDD』
45. SEKAI NO OWARI『Tree』
46. ROTH BART BARON『ATOM
47. アナログフィッシュ『Almost A Rainbow』
48. ザ・なつやすみバンド『パラード』
49. VIDEOTAPEMUSIC『世界各国の夜』
50. 佐野元春 & THE COYOTE BAND『BLOOD MOON』

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今までの「ネットの音楽オタクが選んだベスト」一覧

2015年 国内 150→101 100→51 50→1

2014年 国内 150→101 100→51 50→1

2013年 国内(別ブログ) 150→101 100→51 50→1

2012年 国内(別ブログ) 200→151 150→101 100→51 50→1

2011年 国内(別ブログ) 200→151 150→101 100→51 50→1

2010年 国内(別ブログ) 200→151 150→101 100→51 50→1

2010年代上半期 ベストトラック 国内 150→101 100→51 50→1

2010年代上半期 ベストトラック 海外 100→51 50→1

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