元々この企画は「日本の音楽アルバムの年間ベストがないから作る」ところからはじまりました。今ではいくつかのメディアが年間ベストを発表するようになり、ネットというか自分の年間ベストを考えたくて仕方ないような音楽馬鹿のみなさまのデータを集計するのが楽しくてやっています。
いつも書いていますが、このランキングが必ずしも正しいわけではありません。僕が計測できる範囲内でやった結果にすぎません。雑誌の年間ベストとは違いますし、オリコンの売り上げとも違います。そもそもの目的さえも違います。その上でこのランキングを活用していただけたらうれしいです。試聴用の音源、それからApple Musicのリンクを仕込みました。ぜひ使ってみてください。
データとして使わせていただいた方はもちろん、拾うことができなかったものも含め、音楽が大好きでたまらないすべての人に感謝します。ある意味ネットの文化がこれ作りました。
レビューは少しずつ足していこうと思います。3日間よろしくお願いします。(ぴっち)
ルールの詳細、ノミネート作品一覧はこちら
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150. Serph『Hyperion Suites』
149. 斉藤和義『風の果てまで』
148. ハロプロ研修生『① Let's say “Hello!”』
147. Polaris『Music』
146. KID FRESINO『Conq.u.er』
145. 印象派『AQ』
144. De De Mouse『farewell holidays!』
143. 鈴木慶一『Records and Memories』
142. 女王蜂『奇麗』
141. ドレスコーズ『オーディション』
140. どついたるねん『ミュージック』
139. Yogee New Waves『SUNSET TOWN』
138. Ropes『dialogue』
前身のKARENが解散した後も、こうやってアルバムが届けられることがうれしい。ミニマルな編成、どこか物憂げな曲調、一筋の光のような歌声。くるりの「Now And Then vol.2」におけるコーラス参加で気づいた人もいると思うが、アチコの声はやはり特別だ。枚数を重ねるごとにRopesの魅力はどんどん大きくなっている。
本当のことを言うと最初は今回のアルバムに戸惑った。でもある時、彼らは普通のロックやポップスの形で歌を届けようとしているのではないと気づいた。小林武史のLily Chou-Chouに近い手触りだけど、どちらかというとアチコの声を届けることに主眼が置かれている。あまり類を見ない、でもとても音楽的なユニットだと思う。
ぴっち(@pitti2210)
137. fhana『Outside of Melancholy』
→「Outside of Melancholy ~憂鬱の向こう側~」
136. BUGY CRAXONE『Lesson』
135. back number『シャンデリア』
134. 星野みちる『YOU LOVE ME』
133. AIKATSU☆STARS!『Joyful Dance』
132. SUMMERMAN『Temperature is...』
131. SANABAGUN.『メジャー』
130. SHISHAMO『SHISHAMO 2』
129. 降谷建志『Everyting Becomes The Music』
128. カネコアヤノ『恋する惑星』
127. 吉澤嘉代子『箒星図鑑』
最近の流行りとは一線を画すと思う。歌詞と声がいい。恋心を歌う曲も、今の自分を歌う曲も、言葉が綺麗な形を纏っている。以前はもう少し暗い曲が多かったようにも見えたが、明るい曲でも違和感を感じないのは天性の声だからだろう。個人的にはデビュー前からある「泣き虫ジュゴン」を聴く度にもっと評価されて欲しい。
奈津(@natsu_lily)
126. OKAMOTO'S『OPERA』
125. envy『Atheist’s Cornea』
→「Ignorant Rain at the End of the World」
124. dCprG『Franz Kafka's South Amerika~フランツ・カフカの南アメリカ~』
123. 泉まくら『愛ならば知っている』
122. ACO『Valentine』
121. 豊田道倫『SHINE ALL AROUND』
120. ヒグチアイ『全員優勝』
《八百屋のトマトみたいな口紅》(雨の交差点)って大人びた曲のあと、《本当はトマトとナスが嫌い》(あなたが一番)ってうたうかわいらしさがいいなあと思っていた。少女、から女性、へ。そんなアルバムだと思っていた。
違う、もっともっと、広かった。『孤高の声でうたう激情の鍵盤弾き』彼女はそう呼ばれることがある。だけどどうだ、このアルバムの彼女は、ひたすらに柔らかい空気をまとっている。誰かのことを想っている。『全員優勝』というタイトル。君も、あなたも、わたしも、猫でさえも。《ゴーストレート 思うままに進んでゆけ》(まっすぐ)ヒグチアイが、「ヒグチアイ」という人を、歩みはじめた。
はやしこ(@rinco_hys)
119. Koedawg『根腐れローズ』
118. Czecho No Republic『Santa Fe』
→「Firework」
117. tricot『A N D』
変拍子の激しい楽曲、そしてステージングへのイメージがどうしても先行しがちな彼女たち。一昨年、唯一の男性メンバーであったkomaki♂が脱退したが、それ以降の彼女たちにはライブにも音源にもとにかく勢いがある。「神戸ナンバー」の洒落た感じも、「走れ」のいつも通りのもの凄いスピードで進んでいく感じも、M12のしっとりとした歌声に決意を滲ませる感じも、全てが彼女達の進化と成長を物語っている。
不器用に生きているからこそ彼女たちは今日も輝いているのだ。まだまだ突き進んでいってくれる、頼もしい少女たちだ。
奈津(@natsu_lily)
116. Lantern Parade『魔法がとけたあと』
115. LILI LIMIT『Etudes』
→「at good mountain」 Apple Music
真っ白なジャケットを華麗に着こなすスマートなミニアルバム。丁寧に並べられた音の折り重なり、その構築美は初の全国流通作品にしてはあまりに完璧。ストリングス、ホーン、打ち込みを区別なくバンドサウンドに溶かした甘美な楽曲たちは格別の聴き心地だ。ボーカル牧野純平のソフトで何処かあどけない歌声、随所に配置された男女混声のコーラスは隙なく作られたサウンドに確かな人間味をもたらす。そして日常の諸々をユーモアに富む言い回しで綴った歌詞も特徴的。この2つの要素がスケールある音像に乗ることで互いを引き立てあっている。
7曲31分をノンストップで聴かせる演出など、大舞台でも映えそうなアイデアと存在感を既に持ち合わせているバンドだ。これから多くの人が夢中になって聴き入ると思う。
月の人(@ShapeMoon)
114. 秦基博『青の光景』
113. chouchou marged syrups.『yesterday, 12 films later.』
「不安定」とは、シュシュを語る上での大事なキーワードだと思っている。崩れるか崩れないかのギリギリのラインをいつもさまよっているその不安定さが、ここにきてやっと安定してきた。安定的不安定。白と黒、愛憎入り混じる2羽の白鳥が織りなす「白鳥の湖」になぞらえたリード曲「ラストダンサー」に代表されるように、人間の本質は、負の感情にこそあらわれるとは本人たちの言うところ。嘘、不安、恐怖、孤独。人当たり良く器用に生きている人にこそ、この音は特に苦く、薄っぺらい現実に生きるそれを強烈に吹き飛ばす。
かんぞう(@canzou)
112. RAU DEF『ESCALATE II』
111. 校庭カメラガール『Ghost Cat』
110. DJみそしるとMCごはん『ジャスタジスイ』
アルバムを聴いて一気に好きになって、調べてみたらソロユニットだということにまずびっくり(そこからなのね)。しかもインディーだと思っていたらキューンソニー所属で、砂原良徳もクレジットされている。おまけに表題曲「ジャスタジスイ」の演奏をしているのは片想い。笑えるんだけど、笑えるというよりむしろみんなが笑顔になれる雰囲気。こういうの聴きたかった。
ぴっち(@pitti2210)
109. 吉田一郎不可触世界『あぱんだ』
→「暗渠」
108. D.A.N.『EP』
107. KANA-BOON『TIME』
世間の注目を浴び始めてから、彼らの音楽が音楽的な要素がどんどん深まった印象がある。四つ打ちバンドのイメージはまだ拭いきれてはいないが、次作で化けそうな予感もする。だからこそ「シルエット」の未来に向けた多幸感と「愛にまみれて」の過去への懐古がキャッチーな声の中に両立していられるのだろう。シーンの先頭を突き進んでいることに自覚的な彼らだからこそできる音楽をこれからも続けて欲しい。
奈津(@natsu_lily)
106. G.RINA『Lotta Love』
105. Alfred Beach Sandal『Unknown Moments』
安らぎも憂いも表れる、柔らかいボーカル。あっさりとした耳当たりにだけど、深く沈みこむと底が知れない。さざ波にたゆたう今の時代のインディーロック歌謡。1曲だけ参加の5lackのラップが絶妙にちょうどよい。過去は影になって、アルバムには名場面が並ぶ。押入れの奥で見つけたそのアルバムを、ひとりぼっちで振り返る大切な時間のように、誰も知らない自分だけの想いを確かめるBGM。
104. THE BACK HORN『運命開花』
→「その先へ」
THE BACK HORNの音楽は、聴く前に「情緒を揺さぶられる覚悟を決める必要」があることが特徴で、その一筋縄ではいかない感じが、彼らの魅力の1つだった。しかし、『運命開花』を聴くに当たっては、そのような覚悟は不要である。聴きやすいアルバムなのだ。もちろん、内容はいつもどおり濃密なのだが、同時に、軽く流しておくこともできる作品となっている。彼らにしてはめずらしく、疾走感のある曲で始まり、疾走感のある曲でアルバムが終わる構成となっており、とても後味がよい。
「THE BACK HORNって、重くて、辛気臭そう」と食わず嫌いしている人におすすめできる作品となっているので、気軽に聴いてみてほしい。
やすぴろ(@underdog0721)
103. ハナレグミ『What are you looking for』
102. cinema staff『blueprint』
何かにつけ「目的」というのは大事だ。自分のためでもいいし、誰かのためでもいい。どこかのためでも、どれのためでも、いつのためでも、何でもいい。漫然と物事をこなすよりも、強い想いがこもったもののほうが、いいものになるに決まっている。じゃあcinema staffは何のために音を鳴らしているのかといえば、ボーカルの飯田瑞樹は「聴いてくれるあなたのために」といつかのライブで涙ながらに話していた。
彼らが描く青写真とは一体どんなものだろう。その答えがこの一枚にあると思った。だけど正直それが上手く掴めなかった。 今彼らがそこに到達しているのかすらわからない。ずっと聴いてきたのに。まだ彼らが描く青写真がわからなかったんだ。
でも、それがどうであれ「誰かのために」音楽をやれている彼らを疑う理由なんて何もない。より感情的で、より鋭く、聴く人の耳と心に深い爪痕を残すような、そんな素敵な音楽を、これからもまた聴かせてほしい。ただそれだけだ。
かんぞう(@canzou)
前作が名刺代わりの作品としての代表作になった以上、今作がこのような作品になるとは思っていなかった。「陸にある海」のインストは画期的だったが、物語の主人公たちを描く手法は変わらない。しかしその主人公たちが段々と彼ら自身に近づいている。長いキャリアの中で積み重ねられたリスナーへの信頼が生んだ、新しい第二章への架け橋をかけつつあるのは間違いない。次はどんな世界に連れて行ってくれるのだろう。青写真と共に彼らの旅は続いていく。
奈津(@natsu_lily)
101. エレファントカシマシ『RAINBOW』
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ネットの音楽オタクが選んだ2015年の日本のベストアルバム 150→101
101. エレファントカシマシ『RAINBOW』
102. cinema staff『blueprint』
103. ハナレグミ『What are you looking for』
104. THE BACK HORN『運命開花』
105. Alfred Beach Sandal『Unknown Moments』
106. G.RINA『Lotta Love』
107. KANA-BOON『TIME』
108. D.A.N.『EP』
109. 吉田一郎不可触世界『あぱんだ』
110. DJみそしるとMCごはん『ジャスタジスイ』
111. 校庭カメラガール『Ghost Cat』
112. RAU DEF『ESCALATE II』
113. chouchou marged syrups.『yesterday, 12 films later.』
114. 秦基博『青の光景』
115. LILI LIMIT『Etudes』
116. Lantern Parade『魔法がとけたあと』
117. tricot『A N D』
118. Czecho No Republic『Santa Fe』
119. Koedawg『根腐れローズ』
120. ヒグチアイ『全員優勝』
121. 豊田道倫『SHINE ALL AROUND』
122. ACO『Valentine』
123. 泉まくら『愛ならば知っている』
124. dCprG『Franz Kafka's South Amerika~フランツ・カフカの南アメリカ~』
125. envy『Atheist’s Cornea』
126. OKAMOTO'S『OPERA』
127. 吉澤嘉代子『箒星図鑑』
128. カネコアヤノ『恋する惑星』
129. 降谷建志『Everyting Becomes The Music』
130. SHISHAMO『SHISHAMO 2』
131. SANABAGUN.『メジャー』
132. SUMMERMAN『Temperature is...』
133. AIKATSU☆STARS!『Joyful Dance』
134. 星野みちる『YOU LOVE ME』
135. back number『シャンデリア』
136. BUGY CRAXONE『Lesson』
137. fhana『Outside of Melancholy』
138. Ropes『dialogue』
139. Yogee New Waves『SUNSET TOWN』
140. どついたるねん『ミュージック』
141. ドレスコーズ『オーディション』
142. 女王蜂『奇麗』
143. 鈴木慶一『Records and Memories』
144. De De Mouse『farewell holidays!』
145. 印象派『AQ』
146. KID FRESINO『Conq.u.er』
147. Polaris『Music』
148. ハロプロ研修生『① Let's say “Hello!”』
149. 斉藤和義『風の果てまで』
150. Serph『Hyperion Suites』
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今までの「ネットの音楽オタクが選んだベスト」一覧
2013年 国内(別ブログ) 150→101 100→51 50→1
2012年 国内(別ブログ) 200→151 150→101 100→51 50→1
2011年 国内(別ブログ) 200→151 150→101 100→51 50→1
2010年 国内(別ブログ) 200→151 150→101 100→51 50→1
2010年代上半期 ベストトラック 国内 150→101 100→51 50→1
2010年代上半期 ベストトラック 海外 100→51 50→1
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cover illustrated by @mousou_in